むさし野文学館
内向の世代の同伴的批評家として評論活動を展開した日本の文芸評論家であり、
『小林秀雄』『信長』などの著作で知られる秋山駿(1930~2013)が、亡くなるまでに所蔵していた約1万4300冊の蔵書をはじめ、
武蔵野にゆかりのある人物(土岐善麿(国文学者)、大河内昭爾(文芸評論家)、黒井千次(作家)等)の著作を収蔵した文学館。
内装を撤去した空間に、既存の壁(耐力壁)を基点として、高さ3,015mmの造作本棚を半同心円を描くように
コの字状に配置することで、身体に密着した寸法の細長い空間がレイヤー状に緩やかに連続しながら、
本に囲まれた最小限スケールの様々な居場所を生み出しています。
本棚の間に設けた開口や隙間から、次の空間へと視線や動線がつながり、さらにその先の窓からは屋外に広がる
樹木の緑や空の青を見ることができます。また、本棚に沿って、床レベルや床仕上げを変化させることで、空間に奥行きと変化をもたせ、
同心円状に広がる平面構成とあいまって施設内部の(活動を含めた)姿を外へ外へと開放している様子を表現しています。。
既存建築の素材感を残す部位をきめ細かく設定し、その特異点が生み出す空間のズレが、
建築内部空間の外部性や多様性といった風合いをつくりだすことをめざした計画です。
所在地
東京都西東京市
用途
書庫(文学館)
構造・規模
鉄筋フレックス工法
地上2階 うち1階の一部を改修
敷地面積
96,238.94㎡
建築面積
618.93㎡
延床面積
681.10㎡(うち改修部分53.50㎡)
設計
基本設計 水谷俊博+武蔵野大学水谷研究室
実施設計 水谷俊博建築設計事務所
施工
柾工務店
竣工
2018月4月
開館
2019年4月
撮影
畑拓
受賞
GOOD DESIGN AWARD 2020
メディア掲載
東京新聞 2018年4月20日朝刊
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